日曜日は、5年余り療育施設で見させていただいていたお子さんのお母さんのたってのお願いで、夏休みの宿題である作文のお手伝いをさせていただきました。
夏休みの宿題で必ず出されるといっていいのが読書感想文や作文。
書くのが大好きなお子さんがたまにおられますが、たいていみんな四苦八苦ですよね。
特に支援が必要なお子さんたちのお母さんは、一緒になって、うんうん唸りながら提示された原稿用紙の枚数分の紙面を埋めるのに悪戦苦闘。
だから今年も、課題の中に「感想文」「作文」の文字を見つけたお母さん方の悲鳴が聞こえて来るようです。
発達障がいを抱えていると、学習は問題なくできていても、作文となると固まるというお子さんは多いです。それは、これから挙げていくことが要因としてあるので、知的な能力の差に関係なく参考にしていただけるのではないかと思います。ですので今回はこの時の実際の様子を交えながら、作文指導の手順を書いていきたいと思います。難しいことだからこそ、導く側にいる方には書いている意味を反芻して理解を深め、目の前のこどもたちの指導に当たっていただきたいなと思います。
まずは作文を書くときに目の前のお子さんはどんなことに困難があるかというと、
ASDだと、想像をする力が弱い、気持ちや状態を言葉に変えてアウトプットすることに極端に困難を抱えている、ということがあります。
ADHDだと、まず取り掛かるまでに嫌な気持ちが目白押し。頭では分かっていても、体まで伝達されるのが遅れるので億劫で堪らなく感じるのでしょう。
そもそも、発達障がいを抱えるお子さんは、手先が不器用なことが多いです。これは手先の発達が遅れているからで、指先に力が入りにくい手で、文字を書くのも嫌なのに、原稿用紙2枚分800字も書くなんて、拷問の様に感じてしまうようです。さらに記憶から過去のことを思い出すという作業にも想像以上に負荷がかかり、思い出せない自分に自信を無くして泣いたり逃げ出したり怒ったり暴れたり、ということも起こりやすいです。
集中が15分ほど、いや、5分しか続かないというお子さんもいらっしゃることでしょう。
これらはこどもたちにとっては仕方のないことで、怒られれば怒られるほど、パニック状態となり、おそらく脳の活動が低下して出来ることも出来なくなってしまいますので、いかにリラックスでき、楽しい雰囲気で進めてあげられるかが鍵となります。
私は今回のお子さんが小学6年生になる今まで、漢字や算数ドリル、工作、そして日記と、ずっと見てきていますから、そのお子さんの特徴や、どういう風に言ってあげると求められていることを掴み、その時の光景を思い浮かべたり気持ちを考えることができるかも熟知しています。
だから、作文くらい、お安い御用。と引き受けました。
お題は決っているようで、「家族に関すること」だそうです。
家族構成も、そのご家族の物語も大まかには把握していますけれど、原稿用紙2枚を埋める為の細かなエピソードまでは知りません。
勿論、前に流行ったような「宿題代行」ではありませんから、勝手に書くのとは訳が違います。
あくまでも、そのお子さんの中にあるものを引き出して、それを事実とかけ離れていないかどうかを検討しながら本人に書いてもらうわけですから、逐一お母さんに聞くわけにもいきません。
そこはどうしたものかな?と思っていましたら、下準備として、どんなことを書いて欲しいかという情報を、前もってお子さんと一緒にマインドマップのように書き出して下さっていました。
もし一から始めるとすれば、同じように思い出したものから、単語で良いのでグループ分けしながら書いていくと、それを見ながら相談ができるので視覚支援としても使え大変便利です。
後は本人と相談しながら更にエピソードを聞き出したり、その時の状況や気持ちを文章にしていけばいいので楽勝です。ありがたいことです。
当日、ご両親の送迎でやってきたそのお子さんはやや緊張の面持ちでしたが、しっかりと自分から「よろしくお願いします」と言って頭を下げたことに新鮮な驚きを感じました。
実際の年齢よりもずっと幼いそのお子さんが、親に促されるでもなくひとりでにしっかり挨拶できたのは、他ならぬ親御さんの日頃からの声かけの賜物です。勿論きっとこの日の朝や道中も、しっかりと言われてきたのでしょうが、間髪入れず、バッチリなタイミングで、キリリと気をつけの姿勢で言えた姿を見て私が感心したのは、彼らにとってそれが「当たり前」ではなかったからです。
本人も、今日は作文をがんばらなくちゃ!という意識を持っていることの表れでもあるでしょう。これは大事です。
そこでご両親とは一旦お別れ。
恐らくデイ以外では初めての他者の家での学習です。
学習の場所は、ダイニングのテーブルと椅子、または居間の座卓が良いかなと思い、用意していましたが、本人が落ち着く場所を考えると、その隣にある和室かもしれないなぁと薄々感じ、念の為どちらでも良いように準備だけしておきました。
さあ、お行儀良く靴を脱ぎ、手を洗い、入室したこのお子さんは、入るや否や、隣の和室にピョコンと飛び込み、チョコンと座り、もう作文用紙を出そうとしているではありませんか。

ほらね。やっぱり。
と、予想が当たり、にんまりしてしまいながらも顔を引き締め、
これからの見通しを説明しました。
①・・・・