さっきまで一緒に遊んでいたあの子が急に自分と違う学級に入っていった。
「あれ?〇〇ちゃん、どうしたの?どこ行くの?」
「このお部屋なあに?わあ!おもちゃみたいな物がいくつもあるよ。素敵!」
「トランポリンやバランスボールもあるんだ!いいなぁ」
あなたは入っちゃいけないよ。
「どうして?」
「どうして〇〇ちゃんは入っていいの?〇〇ちゃんは、ここで何してるの?」
〇〇ちゃん、というのは、支援学級在籍のお子さんです。支援が必要な程度は様々です。自閉スペクトラム症やADHD、学習障がいなどの発達障がいのお子さんの中にも、発語もまだ未獲得の重度のお子さんもいれば、知的には高いお子さんもいます。また、他の障がい名を持つお子さんもいれば、身体的な困難を持つお子さんもいます。
支援学級に在籍はしていても、インクルーシブ教育では原学級で他の子どもたちと一緒に授業を受けたり給食を食べたりして共にすごしているので、子どもたちからすれば、そこに隔たりはありません。
当然、休み時間には一緒に遊びに校庭にでていくこともあります。
支援学級の子ども達も、クラスの友達たちと休み時間に遊ぶことはよくあることなのです。
支援学級の子ども達は、その障がいの程度に関わらず、人気者のことが多いです。
特に低学年の間は、傍に大人がついていることもあり、自然とクラスの子どもたちが集まりやすいです。
重度の障がいを持つお子さんほど、友達から可愛がられることも、多いです。
さっきまで、一緒に遊んでいた〇〇ちゃんが、チャイムが鳴ると急に支援ルームに入ってしまい、友達は不思議な思いで、冒頭の様な声掛けをしてくれたようです。
ある子は一歩下がって入り口のドアの上に掛かっている札になんて書いてあるのか確認しています。
「この部屋、何の部屋だっけ?」
またある子は覗き込んでキョロキョロ見回しています。
またある子はドアに身を寄せ、寂しそうに〇〇ちゃんを見ています。
またまたある子は、「〇〇ちゃんは教室に戻らなくていいの〜?授業始まるよ?」と心配しています。
さて、皆さんは、この子どもたちから
「どうして〇〇ちゃんは入っていいの?〇〇ちゃんは、ここで何してるの?」
と尋ねられたら何と答えますか?
大人はいつかこの質問が来る、、、と思っていても、いざとなったら何と言っていいのかどきまぎしてしまい、結局、
「なんでだろうねぇ〜、、、」
とモゴモゴ言ってしまいがちです。
それは、大人である私たち自身が、心のどこかで、目の前の支援級の子どもたちを障がいを持っている子ども達だと思っているからです。
こういう時、私は、まずは問いかけることから始め、その後に難しい言葉や障がい名などは一切使わず、それでいて低学年の子どもたちでも分かるように話します。
聞いてくれた子ども達は、
「そっか」
「そうなんだ」
「わかった」
といって、怪訝そうにしていた表情をパッと明るく輝かせ、教室へと去って行きます。
その後、また、なんで?と聞いてくることはありません。
子どもたちの心は非常に澄み切っていて素直ですから、私たちもシンプルに話してあげれば十分大切なことを理解して受け取ってくれるのです。
そして、支援学級のお友達も、自分たちと何ら変わりのない大切な仲間、友達なんだと一番重要な人権感覚を持って育っていってくれるのです。
では、その問いかける内容とは?
その後に続く、ウソみたいにシンプルな説明とは?、、、