この夏、皆さんは様々なお過ごし方をされたようですね。
私は久しぶりにフル勤務で選挙のお仕事に埋もれていましたが、8月には辛うじて自分の持つ会の子どもたちに、プチ夏祭りを催すことができました。
いつもその会は、月に1度、2、3時間を使って開催します。
少人数なので他に職員は雇わず私個人で対応しており、可能な時だけ夫が手伝いに来てくれます。
保護者がついておられますし、ペアレントトレーニングも兼ねていますから、その面では子どもたちにも目が行き届き、充分手厚いのですが、課外活動となると、今後のこともありますし様々なリスクが伴うので、基本は室内での活動です。
他には漢字や計算、そして概念学習、SST、ビジョン、ルールのある遊び、運動を通した体の使い方、発表、などなど、他に通っている放課後等デイサービスで取り組んでいることの経過を見たり、その一歩先に取り組むことで成長を引き上げ、それをまた放デイで活かしてもらったり。それぞれのその時の課題を捉えながら療育しています。
ですが、4月には気候もよく、近くの山にある広場へと遠足にいくこともありました。
支援の必要な子どもたちは、友達の家へ行き来して遊ぶ機会を得るのがなかなか難しい為、私のところで、学校でもない、放デイでもない、半分プライベートのような感覚で、個別に仲間に会うことは、特別感があるようで、まして、一緒に出かける、となると格別の嬉しさのようです。
なので年に2回くらいは課外活動も取り入れるかもしれません。
そんなことを相談していた矢先、新しい親子さんが入会されました。
新しいお子さんが入られたら、私はまず愛着形成から取り掛かります。といっても、このお子さんは中学生になられているので、その年齢にあった愛着形成です。
まず、初めは、私が何者であるか知ってもらうことから始めます。
何者であるか、とは、経歴などではありません。
この人は安全かどうか。仲良くなれそうかどうか。どれくらいの無理が通るかどうか。怖いか優しいか。指示の出し方はどんなか。声のトーンはどうか。存在を受け入れられるかどうか。
などなど。
お互いの間合いや距離感も含め、たくさんの情報のやり取りを関わりを持ちながら測るのです。
秋にはハイキングに行く予定にしていましたが、それまでに、この新しいお子さんと私の間に愛着形成がなされ、指示が通るようになっていなければハイキングに行くことはできません。
お母さんがついていると言っても、咄嗟の行動に出た時には私が対処しなければならないからです。
最後の砦の私の指示が通らなければ、万が一のことだって起こり得ますから、それまでに関係性の構築を急ぐ必要がありました。
私に与えられた機会は8月と9月のあと2回、というところだったので、仲間(友達)とも楽しめ、自立に向けての練習もでき、私との関係も更に強めるための、「夏祭り会」にする必要がありました。
といってもプチ夏祭り会です。
プログラムは、
①ビー玉コロコロ。
②ピンポン玉ストラックアウト。
③魚釣り。
④垂直跳び大会。
⑤先生と腕相撲大会。
の5つです。
①と③はこれまで施設にいた頃は毎年行っていたものです。新しいお子さんにも参加してもらいたいなと思いました。
毎回手作りです。退職して3年ぶりですが当然今回も手作りです。でも、施設にいた頃ほど、大掛かりなものは作れません。なぜなら持ち運びしないといけないからです。
それに前の晩に作った即席ですし。
でも、それぞれにはしっかり目的がありました。
一番のメインは、夏祭りをするにあたって、「お店の人役」「お客さん役」のどちらも体験してもらうことです。
お店の人は
•「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」などの挨拶を言う。
•決められたゲームの金額を「〇〇円です」と伝える。
•おつりを渡す。
といったお仕事体験をしてもらいます。
お客さんには
•どのゲームをしたいかお店の人に伝える。
•お金を払う。
•ゲームを楽しむ。
•おつりをもらう。
•「ありがとうございました」とお礼を言う。
など、主体的にお店の人とやり取りする経験や、おつりを忘れずにもらうという練習をしてもらいます。
それらの流れを紙に書いて、それを見ながら取り組んでもらうことにしました。
(みんな文字は読めるようになっています)
お金については、紙で作成し、夏祭りを始める前に、学習の時間を使って、説明し、繰り返し予習してもらいました。
途中で交代しながら、どちらの役も体験し、同時に、仲間とのやり取りする楽しさも感じてもらう算段です。
お母さんたちは、あくまでも補助です。
でもついつい先走り主導しがちです。だから、お母さん達も回を重ねる毎に練習です。
そしてゲームの1つ1つは簡単なものですが、それぞれに目的を持たせてあります。
①のビー玉コロコロは箱の中にペットボトルのキャップでパチンコ台のようなものを作り、両手で箱を傾けて好きな点数をめがけて入れるものです。
狙いは
眼球運動と手先の微細運動の向上です。
②ピンポン玉ストラックアウトは紙コップを並べ、少し離れたところから投げて入った所の点数を加算します。
これは、力加減、微細運動、目と手の協応、距離を測る空間認知力を養います。
③魚つりは紙に書いた魚を磁石をつけた割りばしの竿で釣り上げます。
これは指先のコントロール力(微細運動)、目と手の協応、集中力、根気です。
④垂直ジャンプは壁に記した高さ何センチまで跳べるか?です。
瞬発力、集中力、全身の力の連携、バランス力を養います。
と、各種、違った力を発揮、または養うことを目的に選びました。
因みに、腕ずもう、は、他者と直接手を握ったり目を合わしたりと、その相手の身体から伝わる情報を元に、刺激され自分の力をより発揮する、ということと、相手と体を使った遊びから、より良い関係性をつくる、遊ぶ喜びを得る、勝負事を楽しむ、というような総合的な目的を持って取り入れています。
相手の体を通して感じる筋肉の動きが、自分の脳と体を伝って、同じように必要な場所の筋肉が刺激をうけ、力を発揮します。固有受容覚を利用して、力の入れ方を学んでもらうわけです。
実は陰の目玉はこの腕相撲でした。
新しいお子さんと会うのは、この日が2回目。
初回は、きっと恐る恐るだったでしょうね。でもちょっと刺激的で楽しいかもって感じでした。学習はちょっとやだけどねって。
そして2回目のこの日。
他のお子さんたちは私とどっぷり仲良しですから、それを見ている新しいお子さんは、すでに私への警戒心はありません。
学習の時間に少し私の手をペロッとしようとしたくらいです。それは嫌な時に「やめろ」の意思表示でするペロっとはまた違いました。
それは私にとって、しめしめです。自己開示の兆しだからです。
そういうタイミングだからこそ、腕相撲をするのです。
知的障害を伴う自閉症の子どもたちの多くは、握力や腕力が弱く、ひっぱるとか、押すといった力の入れ方が掴みにくいことが多いですが、このお子さんは見込みがありました。
やったこともありそうです。
まずは右手同士がっつり組みます。
ここで私はわざと目を見開いてニヤリと笑います。挑発です。今からやるぞ!というスイッチを入れるためです。
新しいお子さんの目もパッと開きました。
「Lady〜GO!」
説明された方向へと私の腕を押します。力も入っています。
少し押されてあげました。
でも、次の瞬間、私は挽回しその子の手の甲をテーブルにつけました。
「はい!先生の勝ち〜♪」
はい、私は大人気がありません(笑)
その子は怒りはしませんでしたが、やや浮かない表情。
そこですかさず、
「はい!もう1回する人〜!」と呼びかけます。
「はい!」とその子が答えました。
第2回戦です。
本当なら、私はここでも負けないのですがね。そのお子さんとはまだ会って2回目なので、ここは譲ってあげることにしました。少し攻防をしながら、「あぁ、負けた〜!」と。
嬉しそうな笑みがこぼれました。
「はい!もう1回する人〜!」
間髪入れず、この後2回対戦しました。
この時すでに、このお子さんのスイッチは完全に入っています。
2回目の対戦で、攻防をわざとしたのは、それにより盛り上げる意味もありますが、押したり押されたりすることにより、私が握る手や腕からその子の手や腕に、力の感覚が伝わり、どこの筋肉に力が入っているか感じさせることで、固有受容覚が働き、臨場感までもが伝わっているからです。
闘争本能にスイッチが入ったこのお子さんは、私に負けまいと必死になりました。必死のあまり肘がテーブルから離れます。それでも良いのです。そこまで必死になるのが大切だからです。片手では負けると悟ったそのお子さんは、反則技の両手使いになりました。
そうそう、それも想定内!それくらいヒートアップするのが狙い。
しかし、私はそれくらいでは負けないよ!というように、う〜ん、と唸りながら、その子の両手をもろともテーブルにつけました。
「はい、もう1回!」
さっきと同じように、途中から両手だし肘は上がってるし。
興奮したそのお子さんが、咄嗟に、、、
私の手をペロリ!
両手でも負けると思ったお子さんは、ついに奥の手、秘技、ペロリ作戦に出たのでした!
でも実際は舐められていません。何度ペロリ作戦に出られても、私は巧みに手をつないだままでも避けられるからです。
秘技を使ってでも勝てず、結局3対1で負けたそのお子さん。
怒ることなく、燃えきった良い表情で満足げでした。
楽しかった人〜!
「はぁい!」
お互いハイタッチです。
はい、一丁上がり♪私との関係は作られました(笑)
これで、秋のハイキングは大丈夫。
こうして、みんな私と対戦し、こてんぱんに負けて帰ってゆきました。
だって、
「私、最強なので😉」
これまで小学生から高校生まで、躍起になって挑んできましたが、負けたことありませんから。
男の子には、お山の大将が1人必要なんですよ。
こうして、3年ぶりのプチ夏祭り会ではありましたが、盛り上がって終わったのでした。
やれやれ、、、。

(前夜に徹夜で作った即席ゲーム)

(これはいつぞやの作品。腕相撲マシーン)