私達は用事があって、クリーブランドを訪れていた。
ナイアガラ•フォールズから、住宅地を抜け、工場地を抜け、バッファローを通り、ぶどう畑の間の田舎道を通り、五大湖の1つ、エリー湖のほとりを走り、高速に乗ってどんどん行くとクリーブランドに着くことができる。片道4時間。
エリー湖は巨大で、向こう岸が見えないところは、まるで海のようだ。それもそのはず、琵琶湖の40倍もの面積があるらしい。その広大な湖上を吹く風は大量の水分を含み、周りの町に大雪をもたらすとか。これによって冬には南側にある町バッファローは、アメリカで最も雪が積もる都市の1つとなるそうだ。
この広大な湖が厳寒期には氷の湖になるなんて想像しがたい。それほどの寒さがあと数カ月でまたやってくるのだろう。


途中では、何か所か戦闘機が飾られている地点があった。


このエリー湖と戦闘機などについての物語はまだまだ書きたいことがあるけれど、それはまた次回に。
道すがら通ったあちこちの町ではよく国旗が掲げられている。そしてその大半が半旗となって翻っていることに気付いた。

たまたまスマホで調べ物をしていて、アメリカのニュースが目にとまった。トランプ大統領がミネソタ州で起きた銃撃事件を受け、犠牲者に弔意を示すため公共施設や軍事施設では半旗を掲げるよう指示していたらしい。
こうやって、大統領の一言が、この広大な国の小さな街や村にまで届いていることを実感した。
さて、目的のクリーブランドは、私の想像を越えて高層ビルの立ち並ぶ街であった。


美しいビルや建物が、意外にスッキリ並ぶ。

このデザインの際立つ建物が、なんと市役所!?凄すぎるし素敵すぎる。

この玄関を通ると、中で警察かと間違うような制服をきた強面の職員が、受け付けとしてクリアーな衝立の向こうで何の用事かと立ちはだかる。何やらもう1人がパソコンに打ち込む。そして、空港の荷物検査のようにゲートを通され、OKが出て初めて中に通される。意表をついた物々しさだ。

しかし中に入ってしまえば人もまばらにしかおらず、意外なほど自由だった。
入ってすぐのこのホールを見上げ、本当にここは市役所か?と疑う。

日本の市役所とはまるで雰囲気が違う。
建物もそうだが、日本の雑踏とした窓口の様子と違い、私たちが並んだ場所には10人ほどしかいない。ほかにはいない。この高い天井と広々としたフロアにそれだけの人しかいないのだ。それがとても不思議に思えた。
更に不思議に思えたのは、並んでいた人々が全員、黒人かヒスパニック系の褐色の肌を持つ人々だったことだ。白人は1人もいない。これには何か理由があるのだろうか?と、ずっと私は考えていた。
その中に私たち日本人が2人混じっているので、逆に違和感を与えただろうと思う。
そして、このフロアには、小さな図書室の他、ヒスパニック系の方々用なのか、文化交流の部屋のような一室も見られた。
なぜ、ヒスパニック系の部屋だけなのか。他の文化の部屋も他フロアにあるのか。そこも私の疑問に残ったことだった。

市役所の外では花壇に水やりをするおじさんや、ビジネスマンらしき男性が歩いているが、周りの高層ビル郡から考えても、その人数はあまりに少ない。み〜んな、仕事中でビルの中なのだろうか?でも日常の一コマを見たようで、嬉しかった。

この後私たちはあのフルーツの市場へ行き、下町を抜けて、夫の親族のお墓参りへと急いだ。

クリーブランドには、たった数時間の滞在だったが、夫は懐かしい人にも再会でき、思い出の地(あのスーパーマーケットも)も尋ねることができ、今回の目的の1つを果たして、とても良い気持ちで、また4時間かかる帰路についた。

