きらめき 綴り

療育アドバイザーとして活動しています。日々の心の煌めきを大切にしています。

かえるマンション。

寒空に掘り出してしまった冬眠中のかえるが、春になって再び帰ってきてくれてから、はや一ヶ月ほど経った。

温かくなって、晴れの日には夏日を思わす日差しの強さ。

なるべく雑草を増やしたくなくて、冬の間せっせと庭の草を引いていたので、うちの庭には、かえるの隠れる場所が少ない。

 

あれから、かえるはどこに行っただろう?

もうお隣へ越境してしまっただろうか?

あちこち探してみたけれど見つからなかった。

夕暮れ。

隣の家のお庭から、グワ、グワ、と微かに聞こえるカエルの声。

あれ、うちのかえるちゃんは、やっぱりよそに行ってしまったんだ。と思った。お隣は、うちの庭から1段下がっていて日陰があるから、きっと生きやすいだろう。それならそれで良かった良かった。

ちょっと寂しいけれど。

 

諦めて、他の花壇に追加で買ってきた花を植える。ここにはカラスのエンドウならぬ、スズメのエンドウという小さな白い花をつける草が脇に生い茂っていた。

カラスのエンドウだったら紫で可愛いからと畝の半分置いておいたのだ。かえるの日陰になればと思っていた。

でももう、いっその事全部ひいてしまおうか。

と、むんずと掴んで、強くひこうとしたその時。何かがピョンと跳ねた。

もしかして、、、!?

と、跳ねた方向を探す。

 

なかなか見つからないと思った。なんと、かえるちゃんは花壇の土と同じ、斑なベージュ色に変身していた。

いたんだ!しかも、隠れ場所に慣ればいいなと思っていた場所に♪と嬉しさ爆発♪

それから数日、日差しにカラカラにならないように花壇の花に水をやるついでに、スズメのエンドウたちにもかけておいた。

そーっとめくると、緑に変身したかえるちゃんが静かに隠れている。

それでも炎天下では日中が心配。

そこで、プラ容器だけど、水を入れて小さな池を作ってそばに置いておいた。使ってくれるといいけどな。

あとは、あまり気にして見に行っても、用心して逃げてしまってもいけないので、なるべく気配を感じるくらいで共存できればとそっとしておいた。

数日経って、まだいるだろうか?と探したけれど、残念ながらもうそこにはいなかった。

そうよね。餌も探さないといけないし。ここでは干からびちゃうわ。良いところ探してね。と、かえるちゃんの身を案じながら、また庭仕事。

うちの庭は、前の持ち主のご主人が、手塩にかえて育てていた植物たちの名残があちこちに残っている。

壁際の元気な薔薇の木はそのままに、和風のゾーンにはボケの花やらツツジやら、もう何か分からない木が、家を売る時に処分され切り株になってしまっていた。

この切り株たちをどうすればいいか、冬の間ずっと悩んだ。

もう生きていないなら、掘り出してしまえばいいけれど、もし生きていたら、、、。どんな花が咲くのか見てみたい気持ちもあった。

しかし、私たちが入居したのが分かったのだろうか。暫くすると、切り株から控えめに新芽が顔を出し始めたものが現れた。

意外とみんな復活しそうで、それはそれで困ったぞ?とちょっと苦笑い。

その中で、一番家に近くて大きめの切り株は、もう芽も出ずに、復活はしないように思った。

なんでも、切り株って、放置してると地中でシロアリの巣になりやすいそうだ。そのシロアリたちが、家の基礎に移ってしまうと土台をやられてしまう。

根っこが基礎に干渉していると、腐ったりシロアリにやられたりで隙間が空いて、家が傾いたりもするらしい。

家に近い木たちはこれ以上大きくなる前に、なんとかしたほうが良さそうだと思った。

だから、この大きめの切り株は真っ先に掘り出す候補となった。

シャベルとノコギリを相棒に、晴れた日にザクザクと1人で周りを掘っていく。

切り株は年輪のあるような木ではなく、株が幾つか集まり固まった形で、ボコボコと穴が空いている。だから、そう硬くないし、予想ではそんなに手間取らないかなと思っていたのだけれど、これが予想外に大変だった。 

それは、根っこの生命力。

前の主が工夫したのか、地中にはレンガなどが綺麗に埋められたりして、根っこの行く手を阻もうとしているが、根っこが上手。レンガの下を潜ったり、沿って方向を変えていたりで、上手に基礎の近くまでたどり着いている。根っこを引っ張ると、まるでモグラさんの様に土の表面的がグググと持ち上がる。

土をどけ、現れた根っこをノコギリで切って地上部と地中部を分断し、切り株を先に完全に掘り出すことができた。

その時点で腰も肩も痛い。

とうとう取ったど〜!

という達成感と、処分方法が分からないのとで暫く切り株は邪魔にならない薔薇の木の近くに放置していた。

しかしそれもあまり良くないと思うから、数日後、ようやくノコギリで適度に分割して捨てようと思い、庭に出た。

色んな木をチェックして、さぁて、いよいよこの切り株を切ってしまおう!

そう思って近づいた。

でも何か変なのだ。

目は切り株の中心を捉えている。

視界には切り株丸ごとが入っている。

それなのに、無意識だけど、その視界の端が「気になる」と何か信号を出してくる。

その度に見てみるけれど何もない。

よく見えていない私は、そのまま切り株に手を伸ばし、コロンと動かないようにしっかり押さえた。

さあ、切ろう!とノコギリを木に当てる直前、何だかそこがしっとり濡れて、うるっとしていることに気づいた。

なに?

よぉく見てみる。

 

うええ!

かえるじゃん(驚)あぶな〜、切っちゃうところやん!!

なんでこんな所に?と目が白黒する。どこから来たのよ。とパニックになった。

観察したところ、何だか切り株のボコボコ空いた穴からひょっこり出たとしか考えられなかった。

はぁ〜。ちょうど陰になるし、湿気具合も丁度良い。ここを避暑地にしてたのかぁ。

せっかくお家を見つけたのに申し訳ない。この切り株処分するのよ。と薔薇の木の陰にそっとかえるを置いてあげた。

それにしても切り株とそっくりの色になってて分からなかったよ。上手く変身したもんだね。と感心が冷めない内から気を取り直して、切り株をギコギコ切り始めることができた。

形が歪でなかなか進まないなぁ、角度を変えようと、切り株を持ち上げて違う面を上にして地面に置いた。

さあ、また挑戦!

とノコギリを切り株に当てる寸前!

ひえええ!

今度は緑色の小さいかえるがいる!と驚いた。さっきより華奢なかえるだから、別のかえるということは間違いない。

ホント危ないって。寸前だよ?

 

まさか、この切り株の違う穴に、それぞれ一匹ずつかえるが入り込んでいたの?

この切り株は、かえるたちのマンションになってたんだ!

くぅ〜。不思議すぎる〜。

 

せっかく住んでたのに、どうしようかと、シャベルを片手に悩むこと数分。

でもやっぱりこれから梅雨が来るから、このまま置いとけないや。ごめんね。

 

この小さめのかえるにも、薔薇の木の下に移ってもらった。

 

結構、この一帯には他にもかえるたちが住んでるらしく、夕方や雨上がりになると、あちらこちらで元気なグワ、グワと合唱が聞こえる。

お互い姿は見えないだろうが、呼び合っている気がするなぁ。

周りの家々は、綺麗に花が植えられ手入れされている。うちの庭にも色んな花が顔を出している。

夕暮れ時の嬉しそうなかえるたちの声を聞いていると、良い環境だなぁとホッコリする。

 

(分かります?切り株と同化したかえるちゃん。)

(拡大。ちょうど中央かな)

(こっちは小さめのカエルちゃん)