甘ぁいケーキ。チョコレート。アメ。和菓子。フルーツ。アイスクリーム。
私は大の甘党です。食べる量は減りましたが、それでも上に書いたような甘い物は大好きです。目がありません。
こんなに美味しい物がこの世にあるのか、とうっとりします。
でも苦みも好きですよ。ゴーヤ、ピーマン、万願寺唐辛子、タラの芽、小松菜、などなど、こうしてみると緑の野菜に多いですけれど、特有の苦みはクセになりますね。
それに引き換え、酸っぱいもの。これはいけません。私は大の苦手です。こうして書いているだけでも唾液が出て目がしょぼしょぼになってしまいます。
レモン。梅干し。酢の物。そうそう、パイナップルもやや苦手かも。
パイナップルやレモンは甘いじゃないか?時々おられますね、レモンが甘いという方。パイナップルはあの酸味が爽やかでいい?とか。
そうですね。分かります。パイナップルは何とか爽やかだと感じられます。
でもレモンは甘く感じる瞬間はあるかもしれませんが、それ以上に酸っぱさが勝ちませんか?食べることはできますが、ちょっと毎回勇気が必要です。
あ、あと、辛いものもありますね。キムチ!キムチも好きです。あと七味。柚子唐辛子なんかも美味しいです。おやつでいうと、カラムーチョでしょうか。山椒や胡椒の辛味もありそうです。辛味も色々ありますね。
レモンの様に、人によって多少甘い、酸っぱいと感じ方に違いがあるものもありますが、世間一般では今挙げたように大半が大まかには分類できるのではないかなと思います。
でも時々、私たちが大筋で甘いと分類するものを、苦いとか、味が薄い、と感じる方もおられるんですよ。
発達障がいや、その他の障がいを持つ子どもたちと接していると、こんなに美味しいものが!と思うような食べ物を、美味しいと感じられずに悶絶して凄い形相になっている場面によく遭遇します。
それが、一人二人ならともかく、多くのお子さんが同じ反応をするのです。
それが、ピーマン、人参、トマト、ゴーヤ、ほうれん草、などなら分かります。いかにも子どもたちが嫌いそうなものですからね。
ところが、今の大人くらいまでなら、多くの人が好きで、人気者のはずなのに、今の、特に発達障がいの子どもたちに不人気になってしまった果物や食べ物があるんです。
それが、苺🍓。
そして、その苺🍓がのった生クリームのショートケーキ。
こんなの嫌いな人いるんだぁ!って最初は驚きました。
生クリームの🍓のショートケーキって、お誕生日の主役級ですもの。
昭和の子どもなら、奪い合いになってもおかしくないくらい、憧れだった🍓のショート。
それが、やすやすとランクを落とし、今では怖い食べ物ランキングに入る勢いです。
これには昭和の子どもだった私は驚きましたね。
🍓嫌い!
生クリーム嫌い!
それならチョコケーキの方がまし!
いやいや、甘いのなんて大嫌い!
と、みんなひっくり返るのですから(笑)
発達障がいの子どもたちには偏食がある場合が多いです。
味覚にも敏感、食感にも敏感な感覚過敏があるからです。
逆に、感覚過敏があるように、感覚鈍麻もあります。
白い物しか食べない、というような認知の偏りがある場合もあります。
原始反射が残っていて、刺激のある味や硬いものがあると、ウエッと舌が押し出してしまう人もいます。
中には味覚の未発達によって、大味しか感じられず、和食のような繊細な味わいをキャッチできずに味がないと感じて嫌がることもあります。
脳性麻痺の影響で、半身に麻痺があると、味覚にも影響を受けていて、私たちが感じているような味を感じていないケースも。
とにかく、色んな理由から、🍓やショートケーキの生クリームが嫌いな子どもたちがいるのです。
中には、甘くて美味しいものなど、周りに山程あって苦労せず手に入れることができますから、ケーキなんて珍しくも何ともない!というお子さんもおられます。もううんざりなんだ!という感じです。これは時代なんだなぁと思いますね。
あとアレルギーのお子さんもおられますね。
重いアレルギーを持っていると、食に対しての警戒心も強くなっています。命に関わるので当たり前ですね。元々食べられるものも少ないし、これはアレルギーを起こすと分かっているものは除外するので、なかなか食を広げるということができません。医師の助言の元、保護者が許可したものについてはチャレンジしていきますが、アレルギーがあるとは言われていない物でも、子どもが瞬間的に吐き出すものがあります。この場合は、体が拒絶している可能性があるので、それ以上勧めることはありません。
さて、私たちが美味しいと感じるものでも、厳密に言えば、みんな少しずつ味覚は違っていて、感じている味は違うのかもしれない、ということを前提に、お話を進めていきたいと思います。
発達障がいの子どもたちが、多数が好きであろう苺のショートケーキなどを「キライ!」と拒絶する時、多くの大人は、
「なんで?甘くて美味しいのに」
と声をかけると思います。
だけど、子どもたちの方は訝しげな表情をします。
そんな時、私たちは、そもそも、
「甘い」と感じているからキライなのか?
「甘い」と感じられていないのか?
「甘い」と感じられているけど、それを美味しいと感じられないのか?
ということから考え直してみなければいけません。
では、どんな風に感じているのか?
「苺は甘い」というのは概念形成された中の一つではありますが、そもそも、本当に苺は甘いのか?と考えた時、確かにジューシーではあるけれど、甘みが来る前に酸味がくることもありますよね。全く酸味がなくて、めちゃくちゃ甘い、という苺にはなかなか当たらないこともあります。そんな苺に出会えたら本当に幸運です。
正しく言うなら、甘酸っぱい、ということになるのでしょうが、酸味に弱い子どもたちにとったら、甘酸っぱいと言われても、酸味がある以上それは子どもたちにとっては「酸っぱい」であって、美味しい対象ではない、ということになるのでしょう。
となれば、いくら大人が
「甘いでしょう?」
「美味しいよね?」
と聞いても、それだけでは「うん」とはならないし「食べてみよう」とは言わないわけなんです。
黙っているか、言葉を持つ子どもなら「まずい」「きらい」などと言うのではないかと思います。
大人は、甘くて美味しいと思っていますから、まずくて嫌いだなんてわけないと思っているので「そんなわけない」と言いがちに。
でもこんな時、上に書いたように感じ方が違うことを知っていれば、「美味しくないはずない」なんて言って、子どもを固まらせてしまわずにすみます。
代わりに、
「どんな味?」と聞いてみてあげてください。
ただ、答えられるお子さんは少ないかもしれません。
「酸っぱい」とか「ツブツブが嫌」とか「グジュっとして嫌い」とか言えれば良いほうです。
酸っぱい、と子どもに言われたら、私は「そうなんだ、酸っぱいんだね」と一旦受け止めた上でこう言います。
「酸っぱいって味の中に、ちょっぴり甘いって味がない?探してみて。あったら教えてね」と。
すると子どもって、さっきまで酸っぱい!って怒っていたのに、え?とこちらに注意が向いて、「甘い味?甘い味、甘い味、、、」と探し出すようになります。
味を探そうと思えば、口の中で、舌を動かし、苺をあっちへ転がしこっちへ転がしすることになります。
口の中で転がす内に、甘みを見つけ、
「あ!今、すこし甘かった!」と教えてくれたら大成功です。
「苺は酸っぱいところもあるけど、甘いところもあるんだよ」と締めくくってあげると、この時の体験は経験となって
「苺は甘酸っぱい」
という概念形成がなされます。
発達障がいを持つ子どもたちには、味覚が未開発な状態であることも多いです。
だからこそ、経験を丁寧に積むことで、それまで感じ取れていなかった味を感じ、発見し、それを表す言葉として獲得させてあげることで、次第に開発されていくことに繋がるのです。
「苺は甘酸っぱい」という概念形成と共に、この味が、甘いというのか、酸っぱいというのか、と、味と言葉のマッチングが進み、味の分別が行われていきます。
ところが、中には「苦い」とか「味が薄くて不味い」という子どもも出てきます。
「え?苦い?そんなわけない!」と怒らずに、やはりまずは「苦いんだ」と受け止め、「その苦い味って、何の味と似てる?」と聞きます。
ゴーヤやピーマン、と答えることはあまりないかと思うので、こちらから聞いてあげたり、絵を見せてみて、これと似てる味?と聞いてみた時、似てると言えば実際にそう感じている可能性があります。
でも「ぶどう」とか「チョコ」とか「おまんじゅう」などと言った、甘い物を挙げた時、この子の「苦い」と感じている味は、「甘い」である可能性が高いです。
しかし、ここでもまだ、
「甘い」のことを「苦い」と覚えているんだね。
と結論づけるのは早いです。
まだ2つの可能性が残っているからです。
①甘い物を食べた時に、何らかの要因によって、苦いと間違って学習してしまったケース。
②本当に甘味を苦味として感じているケース。
です。
この場合は、少々難易度が高いです。
大人が甘い物を食べさせたくなくて、「これは苦いよ」とわざと教えた結果、食べた時に「苦い!」と刷り込まれて覚えている場合。
たまたま食べた時に、「苦い」という言葉が聞こえて苦いと覚えてしまったというような場合。が稀なケースとして実存します。
誰が食べても苦いようなものと食べ比べをしてもらって、「どっちが美味しい?」と聞いてみて、苺の方がまだ美味しいと答えたら、苦味でなく甘味を感じている可能性があります。
「じゃあ、あなたが食べたゴーヤは苦いけど、苺は甘い、若しくは甘酸っぱいって言うんだよ。」という風に、何度か他のものと食べ比べてみて、実際にその子どもがどんな味をキャッチしているか、丁寧に観察と聞き取りをして味を選り分けていってあげる作業が必要になります。
繰り返し、これは苦くて、こっちは甘い、と伝えていくと、誤学習していたものも、徐々に訂正され、納得しながら浸透させていくことができます。
最後のパターンは麻痺などによって味覚が影響を受けているケースです。
この場合は実際に「甘み」を「苦み」として感じていたり「味が薄い」と感じていることがあるからです。
私たちが甘いと感じている味を、本当に苦いと感じていたら、甘い物を無理に食べさせてしまうのは酷ということになります。
ただこの場合も、個人差があって、ほんの一齧りずつでも口にする内にやはり開発されてくるのか慣れてきて、食べられるようになっていくケースも私の経験上、複数ありますので、食べる機会というものは消去せずに自然に任せて経験を積むというのは大切だな、と思っています。
苺を例にして書いてきましたが、他の食べ物にしても、私たちの固定概念とは違う感じ方があるという前提で、そのお子さんが感じているのはどんな味かな?と知りたい時は、まずそのお子さんが感じていることを受け止めた後、
①言葉で表している味と分類が同じ味の物と同じかどうか確かめる。
②誤学習していないか調べてみる。
③麻痺のある無し
を検討することで、実際に感じている味はどんなものなのか、把握しやすくなりますので、お試しください。
そして、未経験や未開発、共に、育つ過程の中で、苦い、甘い、酸っぱい、しょっぱい、などといった、色んな味の物に触れていくことができるように、少しずつでも口にする食材、料理の種類を増やし、神経発達を促してあげていただきたいなと思います。
このGWなどはお子さんと接する時間が普段より多く持てる絶好の機会。
お子さんが日頃食べておられる物をどの様に感じておられるか会話しながら把握してみたり、これは甘いって言うんだよ、酸っぱいって言うんだよ、と丁寧に味を表す言葉を食材とマッチングしたりして、豊かな会話を楽しんでみられるのはいかがでしょうか?
新鮮な発見があるかもしれません。