きらめき 綴り

療育アドバイザーとして活動しています。日々の心の煌めきを大切にしています。

切り株クラブ

この連休中は、あまり外出をせずに家で過ごすようにしていた。

それは、たまには夫も家でゆっくり溜まっていることに取り組みたい、と希望していたからだった。

新しい家に越して、もうそろそろ半年になるけれど、私の親のことや、お客様や、何やかんやとバタバタしていて、あまり落ち着いた時間を持てていなかったことが理由。

やっと2階の書斎でPCに向きあい、じっくりと考え事をする時間を持てるようになった。

GW初日は、夫は2階、私は1階、と昼食以外は分かれて過ごした。

その日は天気も良くて、私は庭に出て、前の主の置き土産の木の切り株を掘り起こすことにした。

今や趣味と化していて、一度掘り始めたら夢中になって、意地にもなって、掘って掘って掘り続けている。

木といっても、ツツジとか、マサキとか、そういった低木なので、太さもしれている。

だけど、これが、なかなかどうして、相手も何とか引っこ抜かれまいとするのか、手強いのだ。

前の主も園芸がご趣味だったそうで、庭には良い土がたくさん入っている。なんでも業者に頼んでトラックで運び込んだ良い土だったとか。硬そうに見えてもシャベルを入れると、スーッと入り、ホクホクとした柔らかい状態になってくれる。

それが非常にありがたい点で、まだこの掘り出しの作業を助けてくれていると思う。

しかし、木の根というものは本当に凄いなと思い知らされる。

岩で囲われていても、その岩に沿ってどこまでも伸びて隙間を見つけては囲いの中から出ているし、木によっては、掘っても掘ってもまだ下に根を伸ばしていてキリがないものもある。

横に伸びているものについては土が柔らかいので、比較的シャベルを差し込んで浮かしていくと、続きがボコボコと浮き上がってくれるので、面白いように掘り出して引っこ抜くことができる。時々、力加減を誤って、根っこが予想外に早く抜け、ドバっと爆発したみたいに弾けて、頭から土を被ってしまうこともある。Tシャツの中にも入るし、汗だくになった顔にかかれば、拭ったって取れはしない。

家に入って顔から洗って、服も全とっかえする羽目になる。

下に伸びている根については、初めはなるべく横に四方に伸びた先でノコギリで切って処理していたが、下に掘り進めるのに邪魔になるし、シャベルも引っかかり、手も引っかいてしまうので、幹の近くで切り、そこから数センチ取り除くことで作業をしやすくするように手順を変えた。

けれど、これはこれで非常に手間が増えて時間がかかる。

狭い場所に植わっている時は、あまり周囲を広げて掘れないので、狭い中で土にノコギリを差し込んで、土ごとザクザク切っていく。細い根はハサミでチョキチョキ切り揃える。

今掘っているのは、こうしてだいぶ掘り進めたが、まだまだ下に根が続いているようだ。

それでも前はびくともしていなかったのが、少し揺れるくらいにはなってきている。

夫から前に、「こんなの電動ノコギリも無いのにできる?」と言われていて、正直私もこれ以上は無理かもと挫けそうになる。

こないだなどは、昼食も食べずに掘っていて、16時ごろ、エネルギが切れて手に力が入らなくなるくらいまで疲弊した。

それでなくても、切り株との格闘は腰が痛くなる。結構重労働だ。

でも、ここまできて諦めきれない。

今、折りたたみの小型のノコギリを使っているので、大きめのノコギリを買って、幹を分断して、掘り進めようかと思案している。

 

それにしても、たった20センチほどの幅の木でさえ、掘り出すにはこんな手間暇かかるのに、昔の人は開墾、開拓を人の手で何年もかけてやり遂げてきたなんて、どれほどの苦労だっただろうか、と思いまで馳せてしまう。

こんな小さな木で、それこそ音を上げてしまったら恥ずかしいよなぁ、なんて、1人自分と向きあいながら頑張っている。

ずっと同じ木では嫌になってしまうので、気分転換に他の切り株に手を出してみた。

そこには細いブナの木らしき葉が出始めている。

ブナといえば、ドングリの木だが、大木に成長する木だ。しかも、隣との境の塀近くにある。大きくなる前に掘ってしまうのが懸命かも、と思い、掘ることにした。これはこれで周囲に4本繋がっていて、みんな掘り出すのに苦労した。

でもこうして土を触り、花をいじり、木と格闘していると、植物と対話しているような気分になる。

それから先人たちの知恵や苦労について考えたり学んだりして、なかなかに面白い。

切り株を掘った日は、疲れて夜もぐっすり眠れる。

まるでクラブの後のようだ。と思った。

そうだ。

切り株クラブだ。

と一人命名し、くふふとほくそ笑んでいる。

 

苦労して掘っているのには訳がある。

この家は、恐らく私が先に死んでしまったら夫が一人で住むことになるだろう。

その時、夫は1人で、育った木を処分することはできないだろう。

だから、今の内に私ができるだけ処分しておこう。と思っているのだ。

今は一人の切り株クラブ。

いつか、二人の切り株クラブになる日は来るだろうか。