きらめき 綴り

療育アドバイザーとして活動しています。日々の心の煌めきを大切にしています。

昔から伝わる怪談を残す為に。

先日姫路城に行ってきたお話を「姫路城、スペクタクルな1日」として書いた。

そして、その中のお菊の井戸にまつわる怪談「播州皿屋敷」について「姫路城、スペクタクルな1日②」で少し触れた。

そこでこの怪談「播州皿屋敷」を、今の10代、20代といった若い世代は知っているのだろうか?と素朴な疑問が沸いたことも書いた。

私は子どもの頃、本が好きというところから、怖がりなクセに日本の怪談などにも関心が出て、一通り文学として読んだし、まんが日本昔話もいつも見ていたから、大抵のお話は見たと思う。

「おいてけぼり」やら「耳なし芳一」「やまたのおろち」「ろくろっくび」などなど、数えきれないほど恐らく見てきた。その土地その土地にまつわる話が多く、ただの昔話では終わることのできない教え・教訓も含まれていて、見たり読んだりしたあとは、結構余韻が残り背筋が氷るのではなく、伸びる思いがしたものだった。

 

今の子達には、そんな代々伝わる民話や怪談はどのような形で受け継がれているのだろうか?

もしかしたら受け継がれていないかも?

 

そんなことを考えていたところ、

ある日、学校から帰って来たお子さんが漢字の学習を始めた。今日の宿題は「倍」と「談」だという。そして、「わたしさぁ、倍って漢字は嫌いだけど、談って漢字はもっとキライ。だから書かない。」と言い出した。「他」は好きなんだそうな。どうやら形やら画数やらのお好みがあるらしい。

漢字の宿題あるあるだが、そんなこと言ってもやらないといけないわけで、でもストレートに言ったところで反発するだろうから、

「あ!この談って漢字、怪談の談だね!ちょうど先生、あなたに紹介したい怪談があったんだけど、あなたは怖い話はキライ?」と聞いてみた。

「え?怪談?キライじゃないよ、聞きたい、どんな話?」

と、乗ってきてくれた。

じゃあ、「談」が書けたらお話するね、がんばって。と言い渡すと、喜んで「談」を書き始めた。

ほどなくして、

「できたよ!先生、できた!」と報告にきた。

「速かったね~!すごい、どれどれ?ホントだ!がんばったね! じゃあさ、確か計算ドリルもあったよね。ゆっくり話したいからそれもしてしまおう。待ってるから」と更なるノルマを渡しておいた。

「そう来たか(笑)、わかったわかった、やるよ」

と、いい調子であっという間に宿題を終えてくれた。

 

「さあて、それでは始めますか。先生、こないだ姫路城に行ってきたんだけどね。そこに井戸があって・・・。」と、話しかけた時、

「あ、それってもしかして、お皿を一ま~い、二ま~い、三ま~い、・・・って数えるやつじゃな~い?」と言ってきた。ドンぴしゃだった。

「なんでわかったの~?すごいね、本で読んだ?」に対し、彼女が放った言葉がこれだ。

 

「その話なら~、図書館で借りた本の中に入ってたよ。えっと、都市伝説とかだったかなぁ。うわさ話の本だったかも。」

 

播州皿屋敷も、今となっては都市伝説扱いか!?

 

何事も、軽い扱いになったものだなぁ。

ねえ、お菊さん。 

と、心の中で苦笑した。

 

きちんと知ってもらう為に、姫路城で仕入れた内容を噛み砕いて伝えた。勿論、私流の、「井戸を覗く観光客をお菊さんが見たら」の見解も。

またいつの日か、このお子さんが大きくなった時、ふと姫路城に行きたくなり、そういえば子どもの頃、そんな話を聞いたなぁと思い出してまた、自分の子に話して聞かせてくれたらうれしい。

〈伝承〉に貢献できるかも!?