西宮にある兵庫県立芸術文化センターで行われた、歌手のYaeさんのコンサートに行って来ました。
この、Yaeさんという女性を知っている人はどれくらいいるでしょうか?
加藤登紀子さんの娘さん、と言えば、ピンと来る方もおられるかもしれません。
透き通った高音は、お母様以上に。
深く温かみのある低音の歌声は、まさしくお母様譲りです。
民族的な音楽から美しいアメージング・グレイスまで、聴く人の脳に直接響くような素晴らしい声の持ち主。それがYaeさんです。
私は子どもの頃から加藤登紀子さんの曲、特に「百万本のバラ」「知床旅情」がとても好きでした。去年の5月、バラ園を訪れた後、この「百万本のバラ」を思い出して加藤登紀子さんの歌声を懐かしく聞いたところでした。
なので、友達からこのコンサートに誘われて、Yaeさんの存在を知った時は縁を感じて嬉しかったです。
Yaeさんが歌う曲の中に、「名も知らぬ花のように」というものがあります。
東日本大震災の日に産まれたこどもたちのことを歌った歌です。バックのスクリーンには、その時の赤ちゃんたちの姿と、産まれた時間や状況が1、2行書かれている映像が写し出され、Yaeさんの歌声を聴いていると、何故だか涙が込み上げました。
私は阪神大震災経験者。この28年の間に、また変わらない日常に戻っていましたが、自分でも気づかない無意識下になっていた感情が、この歌で呼び起こされ、揺り動かされて、勝手に涙となって流れたようでした。ちょうど、一緒に震災を経験した友だちたちもこのコンサートに来ていましたが、同じように揺り動かされたようです。
この兵庫県立芸術文化センターは、阪神・淡路大震災からの復興のシンボルとして2005年に開館した建物です。当時この場所は軒並み建物が倒壊し、ひどい惨状でした。
恐らく、私だけでなく、この日集まった方は、同じように震災経験者が多かったのではないかと思います。
場所と、人、そしてYaeさんの歌声のエネルギーが重なりあい、心が共鳴したのかもしれません。