昨日行ってきたワンコインコンサート。
この日は演奏者が13人いて、バイオリン、フルート、ピアノ、チェロ、クラリネット、オーボエ、ヴィオラ、ハーモニカ、打楽器を使って計12曲を演奏されていた。
池辺さんといえば、数多くの映画やドラマ、演劇の音楽を作曲されて、その中でも
黒澤明監督の「影武者」のテーマ曲はさすがに重厚で素晴らしい。第34作目の大河ドラマとして1995年に放送された「八代将軍吉宗」のテーマ曲は、主役が西田敏行さんというのもあってか、こういった時代劇の将軍吉宗を扱ったようなものでも軽快で明るい曲調だ。
それと比べて、昨日の作品は公のものと違って、どちらかというとプライベート的なものの様で、川辺さんの説明によると、クラシックの作曲家
バルトーク・ベーラ(1881-1945)に強く影響を受けておられるとのこと。
バルトークは、過去の音楽に目を向けて新しい音楽を作ろうとした新古典主義の人らしい。それまでの流れるようなメロディーの曲に比べて不協和音のようなどことなく不穏な曲に思う。
川辺さんの今日の曲たちも、大変難しくて技巧的で、音の高低の差が大きくて、テクニック満載だった。素人の私には、その良さを十分に理解することができないけれど、1つハッキリしていることは感性が研ぎ澄まされておられるということ。
タナダという曲は棚田を見ていてインスピレーションを得て書かれたものだそうだが、どの辺りが棚田なのか凡人の私には分からないけど、「落ちてくるものを受け止める」と棚田を表現しておられたようにメロディーも、⤵️⤵️⤵️と、流れて落ちる音が並んでいた。
フルートは、尺八のような音を出したり、法螺貝のようだったりで、フルートフルートした使い方はしていなかった。
これが、現代音楽というものか・・・と一種のカルチャーショックを受けて帰った。
今朝になり、もう一度昨日を振り返り、バルトークの曲も久しぶりに聞いてみた。
前に聞いた時は確かに不協和音に聞こえたのに、今日は何故だか聞こえない。メロディーが根底にあって、その音色からはヨーロッパの町並みが浮かび上がってくる。美しいと感じることができた。
そして、そこからまた川辺さんの曲を思い浮かべて見たとき、タナダも含めて、そこには根底に「日本」を強く感じたことを再認識した。
更に、バルトークはクラシックに聞こえた。
バルトークは過去の音楽に目を向けて新しいものを作り出した新古典主義の人なのに、川辺さんが現れたことでその音楽と比べるとクラシックに聞こえるようになった。
ベートーベンにバルトークが影響を受け、バルトークに川辺さんが影響を受ける。
こうやって、音楽の歴史も移り変わっていくんだなぁ。と、素人ながらに新しい刺激をたくさんいただいた。
またこの先、川辺さんに影響を受けて新しい現代音楽というものに挑戦し、一時代を築く音楽家が出てくるんだろうなぁと思うと、楽しみが1つ増えたような気になった。