先生 「今からお勉強を始めます」
「よろしくお願いします♪」
子ども「よろしくお願いします♪」
先生 ( 1から5までの数字を提示し)
子ども 「1、2、3、4、5!」
先生 「ピンポ~ン」
「じゃあ(マグネット5個を並べ1つず つ指差して)1、2、3、4、5」
子ども 「1、2、3、4、5」
先生 「ピンポ~ン」
(今度はマグネットを1つずつ指差しだ けで、子どもに数えてもらう)
子ども 「1、2、3・・・これ?」
一緒に、
先生 「1、2、3・・・(あえて45は言わな い)」
子ど 「1、2、3・・・これ?これ?」
先生 「1、2、3・・・(あえて45は言わな い)」
子ども 「1、2、3・・・これ?これ?」
先生 「・・・・😅」
振り返りの時間。
先生 「○○くんの数の学習をするとき、これ は?これは?って教えてる?」
A先生 「いやっ、僕は言ってません!」
先生 「じゃあ、いつもどうやってる?」
A先生 「えっと、(マグネットを指差し)
いち、に、さん、(4個目を指差し)
これは?」
「アッ!言ってる!💦」
先生 「やっぱり(笑)」
自閉症や知的障がいをもつお子さんの中には
1~3は比較的早く覚えられるけれど、4以降がなかなか入らないということがよくあります。
5までが入っても、10までは もひとつ難しいです。長期に渡って、ゆっくり学習の時間や、生活の中で繰り返し数を数えたり、数を使ってお買い物ごっこなどして遊んだりすることで少しずつ覚えてゆくこともあります。
上の場面は
まず紙に書いた数字を読む。
そしてマグネットといった具体物を使って数える。
1回目は先生と一緒に数えて正解を覚える。
2回目は子どもに数えてもらい、短期記憶に入っているかを確認する。といった場面です。
学習の初め頃は、子どもが覚えていなかったら、すぐに正解を伝えて一緒に取り組むことで、間違いを学ばず、正解だけを覚えることができるようにします。
ある程度こなしてきた頃になると、それだけではいつも先生と一緒でなければ数えられない、若しくは先生が数えてくれることに依存が生まれ、先生が数えるのを止めると子どもも止まる、という状態になってしまいます。
子どもがある程度覚えてきたと思ったら、ルーティンになる前に、子どもが自分で数えるように指導者の介入(プロンプト)を少しずつ減らします。
上の子どもは今まさにそういった段階のお子さんなのですが、久しぶりに「先生」が学習に入ると、このお子さんの「これ?これ?」の連発に、なんだかおかしいな?と感じます。
ふと、日々の学習での手順に疑問が生じて、担当者に確認したところ、子どもから「4、5」を引き出そうと、毎回「これ何?」「これは?」と無意識に繰り返し言っていたようです。
言語の発達に遅れがあったり、数の概念が入りにくい子どもにとっては、目の前の先生が、
「1、2、3、4、5」と言わずに、
「1、2、3・・これは?これは何?」と繰り返し聞くと、
4=これ、5=これ なのかな?
または、
「1、2、3 、これ?これ?」って言いなさいって言ってるのかな???
と思ってしまうのでしょう。
それなら、
先生「1、2、3・・・・・」「1、2、3、4、5」
子ども「1、2、3・・・・」「1、2、3、4、5」
と、他の言葉を挟まず、正しい数え方だけ話したほうが早く 定着します。
「・・・・」の部分は、先生がいつものように正解を言わないので、子どももすぐに4、5が言えず、少し負荷がかかります。しかし、この少しの負荷が、記憶のアウトプットの新しい道筋を作るのです。
ただ、長く負荷をかけすぎると、逆に負担になりすぎてマイナスになります。
わからない、わからない。
先生なんで言ってくれないのかな?
ボクのこと、キライ?
と段々自信がなくなってしまいます。
必ず少しの負荷をかけたあとは、早めに正解をいうことに戻り、子どもが正解を言うことができたら、子どもに分かりやすい形で大いに誉めてあげることが肝心です。必ずちょっとしたことでもいいので、上手くできた状態で終わります。
自己肯定感が下がらず、上がるように感情の面までコントロールしてあげることで、「またお勉強しよう♪」と子どもの意欲も上がります。
子どもは鏡写しなのです。
私たちが教えたように育ちます。