その日の午後は、ちぎれちぎれの雲の隙間から、一段トーンを落とした落ち着いた光が降りてきていた。
山はそれぞれの木々の陰影が出て、奥行きのある姿を見せている。
夏の軽快な青空と違って、心は踊らない。まだ寒くはなかったけれど、どこか影を感じる。
木々もまだ色づいてはいなかったけれど、それだけで、ぐっと秋を感じさせた。
これから冬に向かう秋には、少し寂しげな昼下がりの曇り空が似合う。
夏は突き抜けたような青空と白い雲。昼間の晴天が似合う。
春は、鳥がさえずり、柔らかい風に花が揺れる朝の光。
では、これから訪れる冬は、やっぱり静かな夜が似合うのだろうか。寒くて静かな、澄んだ空気で町の光が煌めく夜空。絵本の挿し絵にも、夜に降る雪や、暖かい光がもれる部屋。
季節によって、似合う天気や時間帯がある。
一日の中にも四季がある。
そんなことを考えながら、買い物に出かけた。