かれこれ今からもう10年以上前、ある子が私に2枚の紙を渡してきました。
1枚目は
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79、83、89、91・・・・・・・・・・・・・・
と数字がところ狭しと、びっっっしり、書いてありました。
2枚目は、
1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233、377、610・・・・・・・・・・・・
と、これまたびっっっっしり数字が書いてありました。
これは、その後も、その子のライフワークとなるもので、その当時のその子の一番の関心事でした。いつも、紙にびっっっっしり書いて遊んでいました。
私はいつもその姿を横で見ていました。
みなさん、1枚目の数列は何だか分かりますか? そう、素数です。(この素数を巡っては、また別のお話があるのですけれど)
でも、長らく私は2枚目の数列が何だか分かりませんでした。よーく、よーく眺めて分かったことは「隣同士の数を足したものが次の数になる」ということでした。そういう数遊びをしているのだと、ずっと思っていました。
ずっと思っていたけど、どこかでずっと引っ掛かっていました。
その頃はパソコンやスマホを使って調べるといった習慣が私にはなかったのと、周りにこれらのことを知っている人がいなかったのとで、私の中に残る疑問として、長く私の中の引き出しにしまわれてきました。
ところが!ところがですよ、10何年経ってから、その謎が解ける出来事があったのです。
それが、昨日書いた「自然の神秘、カリフラワー、フィボナッチ数」です。ひょんなことからカリフラワーの秘密を探る内に、自然界の中にはこの数列がよく使われていることが分かりました。
花びらの枚数
松ぼっくりのかさの列
ひまわりの種の列
などなど、私たちの身の回りには、
1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89・・・という、このフィボナッチ数列が溢れているのです。
ガリレオ・ガリレイはこのことを
「自然という書物は 数字の言葉で書かれている」と言ったそうですが・・・・。
この、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89・・・・・を見ていて、ハッとしました。
こ、これは・・・。これは、あの子がいつも書いている2枚目の数列!
隣同士の数を足して数遊びをしていると思っていたけれど、それだけじゃなかった!
あれはフィボナッチ数列!!!
衝撃でした。長い間の疑問が解けた瞬間でした。
数日後、すっかり大きくなったあの時の少年に聞いてみました。
「もしかして小学生の頃から書いてるこの数字の列、もしかしてフィボナッチ?」と。
自発的な会話がさほど得意ではない彼が、1枚の紙を無言で手渡しました。そこには、たくさんの落書きの中に、
「fibonacci」
という文字が書かれていました。
彼の口元が、微かに微笑んでいました。
「やっと気づいたんか」
そう言っているようでした。