旅の2日目、バッファローのネイバル•ミリタリーパークの後、私たちは最後の大事な目的を果たす為に、更に車を走らせた。
車を停める場所については、レストランでバーガーを食べていた時に調べていた。
専用の広々とした場所だ。大勢の人がここへ訪れることができる。
ただ時刻はすでに日没前。さすがに車は少なく見える。観光客はまばらなのか?など考えつつも、他の人が進む方へとついて行く。
日の差す方へ。

もう落ちかけている夕陽が真正面から照らす。網膜の病気の後遺症で、始終、瞳孔が開いている私の目には酷だ。眩しくて、下の写真の様にしか周りの景色が見えない。そんな中、木々の間を進むと、そこは鳥の楽園かと思うような光景が広がっていた。

至るところに海鳥と雁が降り立ち、地面を啄んでいる。そしてその合間をリスが走り抜ける。なぜなのだろう?この時間に、餌でも撒かれるのだろうか。

暫くその様子を眺めた後、踵を返し先に進んだ。
息を飲む。
こちらはまるで天国かと思うような光景だった。前を歩く人の姿が絵になる。空高く濛濛と上がっているのは水飛沫だ。

そう、ここはナイアガラの滝。カナダ滝のすぐそば。アメリカ側から臨む。

これが、、、これがナイアガラか。
目の前に現れた巨大な地球の割れ目。そんなの今までに何度もテレビや何かで見たことあるし。だけど、本物をこんな目の前で見てしまうと、しばらく言葉なんて出てこない。それくらい信じられない光景だった。

滔々と、と表現するのが相応しいのか。そんな、言葉では表せられないくらいのスケールだ。
幅もさることながら、岸に立つ私たちのすぐ際を、溢れんばかりに、たぷん、たぷんと、轟々流れてくるその水量に、ただただ圧倒される。

落差56mから吹き上がる水飛沫が、その激しさを物語っている。

ビルの谷間から差し込む光が、周囲で見ている人々を幻想的な世界へと誘う。

世界各国から訪れた人々が、このスケールの大きい地球の割れ目に圧倒されている。
パートナーと来ている人は、しっかりと腕を絡ませ、家族で来ている人は各々興奮を表現し合っている。多様な人種、老若男女が同じ自然の雄大さに心奪われている。
気付いたことがある。
それは、こんな、人間の力が及ばないようなスケールの大きな自然の雄大さを前に、人々は笑うしかない、ということ。
その場にいるどんな人種の人々も、初めは厳粛な気持ちで眺めているが、次第に顔が綻び、笑みが溢れ、段々声を上げて笑い出す。
この興奮を、抑えることなどできないかのように。
その感情を、その場にいる人々みんなが共有しているのだ。

何とか記録に収めようと、みんな必死で写真や動画を撮っていた。
そろそろ日没。段々暗くなってくる。
下調べを殆どしていない私たちは、時々地図を見たり、他の人の動向を探ったりして、どうやら右奥の方に伸びる川の先に、アメリカ滝があり、そこまで歩いていけそうなことに気づいた。何分かかるか分からず不安を抱えながらも、せっかく来たのだから行かねば、と決心する。
もっともっと遠いような気がしていた。
が、進んでみれば、心配は懸念に終わり、本当にすぐ、次の滝にたどり着くことができた。
それがこのブライダルベール滝だ。といっても、すぐ横から撮っているので全容は分からないだろうと思う。カナダ滝とアメリカ滝との間を流れ落ちる細長い滝のことだ。
すでにライトアップが始まっている。

反対側を向けばギザギザと鍵割いたような形のアメリカ滝が在る。本当に手を伸ばせば届く距離に、この巨大な地面の割れ目があるのだ。それが信じられない。向こうには朝、スペシャルオリンピックのトーチランの行列に遭遇したレインボーブリッジが見える。
マジックアワーの優美な空色と美しいレインボーブリッジの形と、アメリカ滝から注ぎ込み川面に打ち付けられた水の飛沫が舞い上がりスモークと化したところにライトアップの照明が当たる。
こんな美しい光景を見たことがあるだろうか。

(人がいる場所に私たちも行ったよ)
対岸に見えるのはカナダ側に建つシェラトンホテル。そしてカジノだ。

右端にはあの白い気球がまるで月の様に上がっている。

いつまでもいつまでも、見続けていられる。そう思わせる幻想的な光景だった。
次の日の朝。
打って変わって、私たちは徒歩で宿泊先からカナダ側のナイアガラの滝を見る為に出発した。25分も歩けば到着できる場所に住んでいる人がいるということに驚く。そして、ナイアガラの滝が散歩コースだなんて!と羨む。
なんなら移住したいくらいだ。
9月半ば。カナダ•ナイアガラフォールズは晴天だが歩いても汗をさほどかかなくて済むくらいの爽やかな陽気だ。
住宅地を抜けると、遠くにカジノのある展望台が見えてくる。それを目印に歩く。

観光地とあって小綺麗な街だ。

滝が近づくと、全体がアミューズメントになった一角に差し掛かる。
これ、家がひっくり返ってるよ。

これは子どもたちも大好きなバーガーキング。屋上ではフランケンがバーガーを食べ、ジェットコースターが走っている。

これはキングコングに倒されたビル!

これはBlue Moose Toys。オモチャ&お土産やさん。

ずっと続くアミューズメントパークの先にナイアガラの滝が見えてくる。
こんな風に見えるの!?と意外だった。(アップして見てね)

左端に写る壁がシェラトン。

なんと言ってもこの存在感。シェラトンホテル。バカでかくない?
このシェラトンの前の横断歩道を渡れば、もう目の前にはこの絶景が広がる。5分もかからないかも。
手前がアメリカ滝。奥がカナダ滝。その間に流れる細い滝がブライダルベール滝。

真正面から見るナイアガラは、やはり美しい。けれど、昨日はこの滝に手が届くほど近い、あの場所にいたんだぞ!っていう喜びもある。
それがアメリカ側、カナダ側の両方から見る良さかもしれない。

ナイアガラに向かって右側へずっと進んでいくと、クルーズ船のチケット売り場がある。一人大体5000円ほどだった。高いけど、ここまで来たら乗らなくては!

通路を下っていく。高まる緊張感。

ひゃっほ〜!赤いポンチョを被る。

クルーズ船の2階へ。船は滝のところでくるりと向きを変えてくれるので、最初は反対側の手すりにいても大丈夫。

真下まで行くと、本当にど迫力。マイナスイオンどころではない。びしょ濡れになる。
こちらは落差58m。下の岩に水が当たり雪の様に白く泡立つところに目は釘付けに。

終われば船を降りたところにあるカフェでひとまず乾杯!


たった今乗ってきたばかりの船を上から眺める。
クルーズ船は、冬には運航していないので、ベストシーズンに行った時には必ず乗ることをお勧めしたい。


上に戻ると、こんな風にテラスから滝を眺められる場所もある。こちらもなかなか良い眺め。

白い気球。
夜は月の様に幻想的に浮かび、昼は青空と白い雲に映えて爽やかさが増す。
何でカラーじゃないのかと初めて見た時は不満だったが、今はなるほど、白で良かった。
白が良かった、と思える。

さて、ナイアガラ、これで終わりではありません。毎日夜になるとライトアップされ、22時から5分間だけ花火が打ち上げられるとのこと。ここまで来たら、カナダ側の夜のナイアガラも見てやるぞ!
ということで、16時から22時まで、郊外をマスタングで走り、ギリシャ料理を食べ、滑り込みセーフで戻ってきた。
ただ、既に眺めの良いところは人垣が出来ていて、花火は普通に夜空に上がったものを単独で眺めた。
日本の花火と同じだったよ。

昨夜アメリカ側の滝の直ぐ側でみたライトアップは、カナダ側から見るとこういうことになっていた。
これはこれで美しいね。



もう、これで見納め。2日にかけ、アメリカ側、カナダ側の昼間、そして夜のライトアップと、3度のナイアガラを眺め楽しむことができた。
これだけ色んな角度、時間帯の姿を見ることができ、大満足。
世の中がバブルの頃、会社の先輩たちは、よくナイアガラ旅行に行った話を聞かせてくれた。海外旅行が盛んになった頃で、華やかな様子が眩しかった。
しかし、私には生涯、縁のない場所。ずっとそう思っていた。
関心がなかったわけではなく、到底難しいと思っていたのだと思う。
でも、どんな建造物を見るよりも、太古の昔、自然の偉大な力によって形成された、スケールの大きなものを見てみたいという想いを心の奥底で温めていたらしい。
だから、夫から、どこか行きたいところある?と聞かれ、場所的なことから咄嗟にナイアガラ!と答えた。自分でもびっくりした。
それが8月の話。
そこから急展開で話が進み、どんどん問題をクリアして、とうとう実現した。ちょうど、選挙管理委員会の手伝いの仕事も辞めていた。タイミングが何もかもピッタリ合ったのだ。
実際に現地で動けたのは前後の2日を除けて3日だった。
たった3日間とは思えぬくらい、ギュウギュウに詰まった盛り沢山の経験をした。
同時に、この記事を入れて10回にも収まらないくらい、まだまだ感じ、学んだことがあった。
なぜ今になり、こんなに素敵な(自分の中では)機会がやってきたのか分からない。なぜなら今は逆の見方をすれば逆境の時期だからだ。
逆境なのに最高の体験!?何それ。
2人、ナイアガラの前に立ち、何で私たち、ここにいるのだろう、、、と実は訳が分からなくなっていた。
正負の法則&他力
つくづくそれを感じる旅になった。
人生まだまだこれからだ、ということかな~。
(生の音をおすそわけ。)音量に注意。
~END~