きらめき 綴り

療育アドバイザーとして活動しています。日々の心の煌めきを大切にしています。

きらめき療育論:療育の繚乱期。

放課後等デイサービス、児童発達支援事業所が出来てから約11年が過ぎ、重度の心身障がい、自閉症ダウン症の子供たちが主にお預りとしてレスパイトケアの役割を担いでいたのが、今では発達障がいの子供たちの受け入れへとその間口を広げ、更にこれからは専門に特化した療育、または総合的な療育へとその役割は変化し進化しようとしています。

総合的な療育を、ということは以前から国のガイドラインにも具体的に記載されているのですが、その内容をきちんと理解している人、事業所がどれくらいあるかは不明です。

なので今また「総合的な療育を」と強調せざるを得ない状況にあった、というのが本当のところなのでしょう。

 

その中でも、5年ほど前から比べると、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所は、世間での認知度も上がり、陽の当たる場所で堂々と教室を構えても、利用者さん達がさほど人目を気にしなくても良いというところにまで、その存在というものは浸透してきたように思います。

 

そして、今や巷には発達障がいの子供達への療育に関する情報が溢れています。

・〇つのタイプに当てはめれば改善する。

・〇〇を食べれば劇的改善。

・〇農薬野菜を食べれば治癒する。

・〇〇式メソッド。

などなど。

 

放課後等デイサービスに株式会社が参入してからというもの、療育は一気に1つの産業と化しました。

何らかの障がいをお持ちのお子さんを抱えておられるご両親にしてみれば、藁をもすがるお気持ちで、色々調べてみるけれど、一体どれが本当にいいのか、こうも情報が多ければ分からなくなる、というのが現状かもしれません。

それに加えて、〇〇アドバイザーという人たちもこれからは多く出現してくることでしょう(私を含め)。

 

そしてこれは不登校問題にも同じことが言えるといえます。

これから増えてくるフリースクール、認可・不認可校、〇〇スクール・・・・・。

 

そこで、心配なのは、〇〇さえすれば治癒する、とか、〇〇のパターンに当てはめれば劇的に、とかいった、効果を謳う誘い文句を鵜呑みにして信じてしまうことです。

少しの経験で、アドバイザーを名乗る人たちにも注意しなければなりません。なぜなら、我が子に有効だった手立てが、そのまま多くのお子さんに必ずしも当てはまるかは分からないからです。

その事は、専門的な知識を身につければ身につけるほど、理解しているはずです。 

専門的とは、幅広く、深く知識を身につけ、俯瞰して考える力を持つこと。目に見えるお子さんの姿だけでなく、見えない内面で起こっていることにも理解があり、発達のステージに合わせて今必要なこと、この先の将来を見据えて考えた時にやっておかなければいけないことなど、一人ひとりのお子さんに合わせて考えることができること。そして、お子さんを育てているご両親やご家族の葛藤や悲しみ、そして喜びを理解し我が事の様に感じ寄り添うことができる心。また、親子を取り巻く関係機関を含む環境について熟知し、更なる学びを進めていること、など、総合的に身につけていることを指すと私は考えますし、親御さんたちもまた、そう理解されていることでしょう。

ただ、経験から上手くいった方法というものは、勿論参考にはなります。我が子にどれがフィットするかは分からない時がありますから、試してみる、というのは良いかもしれません。

 

気をつけていただきたいのは、盲信的に、1つの方法だけとか、目立つ誇大表現で保護者心理を引き付けるものに傾倒するといったことです。

そうならない為に、いつも客観的、俯瞰的に考えることや、眼の前のお子さんをよく観察して、必要なことを学び続けていき、他者の言葉を鵜呑みにしないという姿勢を忘れないでいることです。

 

「発達障がい」という言葉が社会的に広まり、療育に携わる方が増えたことや、理解してくださる方が増えたことは、純粋に喜ばしいことです。

けれども、発達障がいと言われるASDADHD、学習障がいなどは、非常に奥が深く複雑で、簡単にこうだ!と言えるものではないのです。

 

療育の繚乱期に入った今だからこそ、その『質』、そしてそれを「見極める目」が大切だということを、保護者の方々には心にお留めいただきたいと思います。